ユースネット第3回定例会 開催報告

 今年度も残りあとわずかとなりました。皆様におかれましては、卒業式や学年末の業務などでお忙しいことと思います。さて、2月6日に藻岩中にて、道中理ユースネット「第3回定例会」が開催され、藻岩中学校の今井大貴先生が、3年生の環境分野で、『プラスチックとバイオプラスチックの性質にはどのような共通点や相違点があるのか』という学習課題で授業を公開してくださいました。今回は、今井先生の授業の様子と、討議の様子をご報告させていただきます。

授業の様子について

 授業は、前時で確認したバイオプラスチックと従来のプラスチックを比較するための実験方法の確認から始まりました。熱への耐性や物理耐性など、自分たちで考えたプラスチックの性質を調べるための実験方法でどのような活動を行うか、それをもとにどのような実験器具や薬品を今回の実験で使用することができるのかの確認を行い、実験が始まりました。

 実験中は子供たちが、自分たちで立てた計画をもとに、各班で様々な実験を行っていました。沸騰しているお湯の中にバイオプラスチックのフォークを入れて曲がっている様子や、それぞれのプラスチックを燃焼さじにのせて加熱し、燃え方や燃えた後の様子の違いなど、自分たちの考えた実験の様子を じっくりと観察し、それぞれのプラスチックにはどのような特徴があるのかを探究していました。
 実験後はそれぞれの実験の結果を写真で撮影し、それをクラスルームのストリームにアップして共有しました。「曲がった」や「壊れた」というような内容だけでなく、「どのように曲がったか、壊れたのか」という点について今井先生が生徒の結果に対する見方を引き出しながら、本時のまとめが行われていました。

授業後の討議の内容

1.授業の成果と評価
・ユースらしく教師がチャレンジする姿勢
 試行錯誤をする授業者の姿勢が、今回の目的としていた生徒たちの探究心を引き出す授業につながっていた。探究する生徒を育む教師自身が探究する姿を生徒に見せていくことがとても重要。
・教材の工夫
 マクドナルドのカップやストローといった、身近な製品を用いて単元の導入を行い、そこから農業用シート、BB弾など、多様なバイオプラスチック多数用意し、生徒がワクワクしながら取り組める環境が整えられていた。
2.改善点
・実験の目的意識 / 比較の視点設定
 「なにを比較するためにこの実験を行うのか」という観点をより強く押さえることで比較の視点が明確になった。「割れた・割れない」という目先の結果だけでなく、「どのような力加減で、どう変化したか」という詳細なプロセスを記述させることで、より深い実験結果の交流が可能となったのではないか。
条件統制の難しさ
用途が異なる製品(スプーンとフォーク等)を比較する場合、純粋な物質の性質以外の要因(プラスチックの厚みや細長さなど)が結果に影響するため、より厳密な対照実験の提示が必要である。 

・授業の「種まき」
 生分解性の実験など、結果が出るまで時間がかかるものは、夏から仕込んでおくような「長期的なスパンでの授業構成」も検討の余地がある。

教育大学札幌校講師 荒谷航平先生からのご助言
科学と技術の違い、「科学的な意思決定」ができる生徒の育成に向けて 
「科学」と「技術」の本質的違い
 科学:物質の性質を純粋に追究すること。
 技術:人間の目的や条件(コスト、環境、利便性)に応じて、科学的性質を使い分けること。

 「環境には良いが、耐久性が低い」「精度は高いが、熱に弱い(BB弾)」など、全ての条件を満たす完璧な素材は存在しない。その間の「妥協点(トレードオフ)」をどこに見いだすかが重要。理科として「自然との共生」を目指す上で譲れない環境配慮を確認しつつも、製品としての利用価値も評価しつつ「科学的根拠に基づけば、この条件(どのような用途か、どのような使用の目的があるのかなど)ならこれを選択すべき」という「科学的な意思決定」ができる生徒を育てることを大切にしたい。 

 年度末にもかかわらず10名を超える多くの方々に参加していただきました。義務教育を終え、小学校からの理科の学びを総括する3年環境分野で育みたい生徒の姿などを参加者全員で共有でき、とても学びの深い研修会になりました。
授業を公開してくださった今井先生、どうもありがとうございました!

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